「いざとなったら、不動産を売ればいい。」
不動産をお持ちの方でそのように思われている方もたくさんいらっしゃいます。
「不動産があるから安心・・・」
本当にそうでしょうか?
以下は不動産をお持ちのご家庭で実際にあった話です。
手遅れになったケース
ある日のこと、父親が体調不良を訴えた。
その時はあまり気にしなかったのだが、それが続いたので最初は通院で病院にかかっていた。
そのうちに入院した方が良さそうだということになり、入院を決意した矢先、倒れてしまった。
診断の結果、長期入院、もしくはもう退院出来ないかもしれないとのこと。
長期入院だとしても完治の可能性がないので療養施設に入ることが必須だという。
療養施設の入所金、月々払う費用が月額かなりかかるらしい。
これはもう父親の住んでいる家を売らないとダメだと思い、兄弟とも相談し家を売ることにした。
査定をしたところ、6500万円で売れるということなので、すぐに売りに出した。
そんなある日、知り合いから「相続に詳しいコンサルタント」がいて、
初回の相談費用もかからないという話をきき、相談をしてみることにした。
相談をしてみたところ、とんでもない事実がわかった。
なんと売りに出している父親の家は売れないというのだ。
なぜなら、体調不良で話すことの出来ない父親は、
「意思表示の出来ない人」ということになり、意思表示の出来ない人の不動産の登記を変えることは出来ないというのだ。
つまり、売ることが出来ない。
元気なうちに、先のことを考えて行動していれば、こんなことにはならずに済んだのにと思ったが、時すでに遅し。
施設の入所金、月々の費用は3兄弟で負担しながら父の余生を見守ることにした。
これは、私が相談を受けた本当にあった話です。
不動産の売却をするということは、持ち主の変更=登記の変更をします。
この登記の変更をするのには必ず司法書士が立ち合い、不動産の売却の意思があるのかを確認します。
その際に意思表示が出来ない状態ですと、登記を変更することは認められないので、売買は成立致しません。
いわゆる、認知症の方も意思能力がないとみなされ、登記を変更することは認められません。
「いざとなったら、不動産を売ればいい。」、「不動産があるから安心・・・」
そんな風に考えておられる方はくれぐれもお気をつけください。
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